03仕事でのエピソード

細かい安全基準をクリアするため実験漬けの日々

レクサスRXで初めて、サイドの窓に付ける「カーテンシールドエアバッグ」の設計を任されました。エアバッグは飛び出る角度や厚みなど、わずかな違いが命に直結します。クルマには様々な人が乗るため、背が低い子供や横向きに座っている人を守れる性能が必要。突然の衝撃を瞬時に緩和して乗員を守ることが重要になります。

製品化にあたっては、それぞれ細かく数値化された基準をクリアしなければなりません。
そのための試験項目は数百に及びます。エアバッグの開き方を見る試験は約300回。本社のトヨタ自動車の内装設計部に2年近く在籍し、取り付け角度や形状を微調整しながら実験を繰り返しました。ようやくクリアした評価試験では「最後まで細かい配慮をしてもらいありがとうございました」と衝突実験部署の担当者から労いの言葉をもらったことも。
性能だけでなく、実際に製造工程で組み付ける製造スタッフの仕事のしやすさも考慮しなければなりません。「取り付ける姿勢や力に無理はないか」「工具の持ち替えは最小限になっているか」など細かいところも製造現場と話し合って調整。改善を続けた結果「おかげで組み付けやすくなって助かるよ」と言ってもらい、うれしくて涙がこぼれたこともあります。地道な作業が多い仕事ですが、周りの期待に応えようと改善を続けることで、自身の成長にもつながっていることを実感しています。

04トヨタ自動車九州の雰囲気

自力で成し遂げる案件が増えるたび、自信がもてるように

技術開発とはつまり、新しい挑戦です。課題が出てきても、上司も同僚も正解を知りません。そうした中、手探りで正解につながる道を見つけるのは怖くもあり、楽しくもあります。
部内は、仕事の相談はもちろんプライベートな話も気軽にできる雰囲気。チームごとに毎週、業務相談ができる時間が設けてあり、上司は一人ひとりの相談や提案をしっかり聞いた上で、適切なアドバイスをくれます。エアバッグの開発で行き詰まると、問題点が整理できるよう導いてくれ、気が済むまで挑戦させてくれたことも。
長年の経験から出るノウハウやアドバイスでサポートしつつ、部下のチャレンジを後押ししてくれる上司。おかげで「自分の力で成し遂げた」という達成感が生まれ、自信につながっています。

05これから挑戦したいこと

チームを動かすリーダーを目指して

これから後輩の育成を行っていくことも自分の課題だと思っています。ゆくゆくは内装全体の取りまとめに挑戦し、チームを動かせるリーダーになることが目標です。
現在は、上司の課題の出し方や指摘の仕方などを勉強して、私だったらどうするか、どんな改善が可能かを考え学ぶ日々。設計の初期段階で各設計部門や他部署、仕入れ先に配慮した設計ができる技術力を身に付けて、この部署に欠かせない「人財」になることを目指しています。