トップメッセージ

TOP MESSAGE

Top Message 01

「自ら考え、行動する」
仲間と共に、
クルマの新たな可能性を
世界へと発信する

コーポレート本部長杉山 敦

「100年に一度の大変革」は
終わることのない進化の始まり

「100年に一度の大変革」
自動車産業を取り巻く環境は、今、大きなうねりの最中にあります。電気自動車、自動運転、通信機器とクルマの融合によるコネクティッドサービスといった技術の進化、カーシェアリングをはじめとする価値観の多様化、これらはトヨタ自動車九州はもとより、トヨタグループ、そして自動車産業全体が初めて経験する大変革です。そして、留意すべきなのは、この大変革はいつか終わりを迎えるものではないということ。クルマを取り巻く環境はこれから先ずっと変わり続け、かつ、変化のスピードはどんどん速くなることでしょう。私たちは終わることのない大変革の流れに、今、足を踏み出しているのです。

トヨタ自動車は2016年4月、グループ会社を製品軸ごとに再編したカンパニー制を導入。再編に伴い高級車レクサスを製造する当社は「レクサスインターナショナルカンパニー」の一員となりました。それを受け、社内で「2030年ビジョン」を作成。「レクサスインターナショナルカンパニーのメインプレイヤーとしてブランド価値向上に貢献する」という高い目標を掲げています。トヨタ自動車九州の開発拠点である「テクニカルセンター」にはトヨタ自動車の社員も常駐してプロジェクトを推進しており、トヨタグループにおけるレクサス開発の一大拠点として重要な役割を担っています。

「100年に一度の大変革」の中で、レクサスインターナショナルカンパニーの一員である私たちがやるべきこと。それは、他の企業ができないことに取り組み、新しい商品、新しいサービス、新しい価値をお客様に提供し続けることに他なりません。高い志と使命感を胸に、トヨタ自動車九州はこれからもチャレンジ、そして成長を続けていきます。

生産工場から開発拠点へ
「人財」を武器に事業を拡大

今でこそレクサスの開発拠点となっているトヨタ自動車九州ですが、1992年の操業からしばらくの間は、トヨタ自動車の車両生産工場でしかありませんでした。バブル経済の崩壊に伴う生産台数の激減という苦難を乗り越え、現在は生産技術、開発までを担う企業になりました。これは、トヨタ自動車九州創設当初からの悲願。最初はバンパーなど車両の一部分の開発からスタートし、マイナーチェンジ、そしてモデルチェンジへと、実績と経験を重ねていきました。現在ではレクサス初のEV(電気自動車)「レクサスUX 300e」の開発に参加するなど、レクサスインターナショナルカンパニーの一員として、開発部門が担う役割は重要度を増しています。

企業としての成長を「質」の面で表す一例が開発業務の開始であるとするならば、「量」の面で成長を示すのが生産台数です。トヨタ自動車九州は2019年、過去最高の生産台数を記録しました。このような当社の成長を支える一因が「人財」にあることは、間違いありません。トヨタ自動車九州では生産車両の約9割を国外に輸出しています。そのため、世界情勢の変化が生産体制にダイレクトに影響。右肩上がりに成長したのではなく、何度も浮き沈みを繰り返しながら、今にいたります。そこで培われた柔軟な生産体制と、それを可能にする社員一人ひとりの臨機応変な対応能力は、「人財」の名の通り、トヨタ自動車九州の財産といえるでしょう。

また、女性社員の活躍も特筆すべきポイントです。当社は製造現場のメインライン(溶接、塗装、組立などの主要業務)に初めて女性を採用しました。女性ならではの視点やアイデアで改善が進み、今ではこの取り組みがトヨタ自動車にも波及しています。調達や生産管理、新車進行などを担う事務職においてはさらに女性の活躍が顕著で、2017年以降の入社人数は女性が男性を上回っています。先ほど申し上げた柔軟な対応能力に加えて、人財の多様性はトヨタ自動車九州ならではの強みであると考えています。

大変革時代の主役はITではなく、
自ら考え、自ら行動する「人」である

これからのトヨタ自動車九州を担う人財に求められるもの。それは「自ら考え、自ら行動する力」です。加速度的に進化を続ける大変革時代では、これまでの価値観が崩壊したり、セオリーが通用しなかったりする場面がたびたび訪れることは間違いありません。そんな時に、何が正解なのか、その正解にたどり着くために何を学ぶ必要があるのかを自分で考える力が道を切り拓く助けになります。学生時代の学びには予め正解があり、学ぶべき課題が与えられていることが多かったと思いますが、これからの自動車業界を生き抜くための学びには答えがありません。なぜそうなのか仮説を立て、それが正しいかを自ら検証する。そして、間違っていればそこから学び、正解に辿りつくまで粘り強く挑戦を続ける。その繰り返しが、これからの時代に必要とされるクルマづくりへと繋がっていくはずです。

「100年に一度の大変革」の多くは、ITを中心としたテクノロジーの進化によるものです。しかし、忘れてならないのは、どんな技術も「人」が生み出すということ。仲間と協力してプロジェクトを成功へと導く協調性やリーダーシップ、専門外の知識を得るための多様な人的ネットワーク、これらをベースにした人と人の繋がりがイノベーションを生みだします。未来を創るのはテクノロジーではなく「人」。チームワークが組織において欠かせないことは、昔も今も、そして、これからも変わりません。

「自ら考え、自ら行動する力」は、いわば仕事における応用力に関連するスキルです。応用を利かせるためには、まず基本を身に付けることが先決。そのため、トヨタ自動車九州では「トヨタ生産方式」をはじめとする、トヨタグループが長い年月をかけて改善を重ねてきた仕事の基本を学んでいただきます。「自ら考え、自ら行動する力」を最大限発揮できるレベルにまで土台を固めた上で、一人ひとりのオリジナリティを存分に発揮してほしいと考えています。

「こんなクルマがあればいいな」「こんな機能があればいいな」
それが夢物語ではなく、現実に起こり得るのが「100年に一度の大変革」の先にある世の中です。自ら考え、自ら行動し、まだ誰も見たことがない“いいクルマ”を、共につくっていきましょう。

Top Message 02

新たな技術を生み出す
「創造(想像)力」そして、
豊かな人間性が
期待を超えるクルマを創る

技術本部長田中 実

チャレンジングな企業風土が
「テクニカルセンター」へとつながる

トヨタ自動車九州は、トヨタ自動車の車両生産工場として1992年に操業を開始しました。2006年から生産技術部門へと業務領域を広げ、2008年から開発技術の習得をはじめました。その後2011年に開発部門を設立し、2015年からモデルチェンジの受託をスタートしています。2021年には創立30周年を迎えることになりますが、トヨタグループ全体で見ればまだまだ歴史の浅い企業です。グループ内のボデーメーカーとしては最も後発組ではありますが、歴史の浅さ、規模の小ささを逆手に取り、チャレンジングな取り組みを積極的に導入することで成長を続けてきました。2016年に開設した「テクニカルセンター」は、それまで別の棟にいた開発部門と生産技術部門を同じ建物内に集約。相互の連携を強化することにより、意思決定の迅速化と品質・開発力の向上を目的としています。

トヨタ自動車に比べると規模がコンパクトであることから、部署の垣根を越えた社員同士の近さ、互いの顔が見える関係性での密な連携は創立当初からトヨタ自動車九州ならではの武器でした。しかし、開発部門と生産技術部門が別の棟で働くことでの物理的な距離の壁があったことは否めません。同じ建物のワンフロアに集まることで、その壁を解消。顔を合わせての打ち合わせがやりやすくなっただけではなく“雑談レベル”でも気になったことを気軽に相談し合える環境があるという点が、開発プロジェクトを推進する上での大きな強みとなっています。プロジェクトの初期段階から、開発部門と生産技術部門がチームを組み、その都度課題を解決しながら進めていくことで、作業の効率化、迅速化に効果を発揮しています。

合言葉は「ONE LEXUS」
九州から世界にレクサスを発信する

テクニカルセンターの開設は、トヨタ自動車九州内での意思決定の迅速化、品質・開発力の向上が目的でした。開設から約5年が経過し、当初の目的以外の効果も発揮し始めています。それは「ONE LEXUS(※)」として、レクサスの開発を担う拠点機能です。トヨタのグループ会社を再編したカンパニー制の導入により、当社は「レクサスインターナショナルカンパニー」の一員となりました。「レクサスインターナショナルカンパニーの“一翼”を担う存在になる」というのが、トヨタ自動車九州がめざす姿。一翼とは鳥にとっての翼、即ち、世界のトップメーカーと競う高級車「レクサス」にとって、欠かせない存在でありたいという想いが込められています。テクニカルセンターではトヨタグループのエンジニア達が集い共同で開発プロジェクトを推進。「ONE LEXUS」として互いに刺激し合いながら、世界各国にレクサスブランドを発信しています。

テクニカルセンターのもう一つのメリットといえるのが“マルチ人財”の育成です。トヨタ自動車九州では近年、開発部門と生産技術部門、品質部門などを経験しながらキャリアを積み重ね、クルマづくりにおける幅広い知識、経験を有したエンジニアの育成に努めています。

「例えばこんなクルマがつくりたい」というデザイン・開発者のアイデアを、日々安定した品質で生産できるように実現していくのが生産技術の役割です。これらの部門は切っても切れない密接な関係です。色々な部門を経験し、多くの業務スキルを有するマルチ人財がいることで、開発から製造までの一連の流れはこれまで以上にスムーズになります。そして、テクニカルセンターにおける部署間の距離の近さが、マルチ人財の育成を容易にしていることは間違いありません。
※トヨタ自動車、トヨタ車体、トヨタ車体研究所(鹿児島)、トヨタ自動車九州のメンバーにて構成

レクサスへの高い期待を上回るべく、
ひたむきに技術を追求する

トヨタグループの各ボデーメーカーでは様々な車種の生産を手掛けており、それぞれのクルマに対するお客様ニーズに応えるべく、エンジニアが力を発揮しています。トヨタ自動車九州が生産しているのは高級車に分類されるレクサスであるため、お客様のクルマに対する期待、要求は非常に高いものです。その高い期待をさらに上回るクオリティで応えることがトヨタ自動車九州で働くエンジニアにとっての誇りであり、何よりのやりがいです。

技術へのこだわりの具体例として、設計図面上で±1.5ミリの誤差が許されていたとしても、トヨタ自動車九州は中央値に限りなく寄せるということにこだわっています。また、検査スタッフは出勤時にテスト用のパネルを触り、毎日異なる値に設定された隙間や段差の数値を答えることが求められます。許される回答の誤差は隙間で±0.5ミリ、段差で±0.2ミリというわずかなもの。それ以上の間違いを答えたスタッフは、その日の品質検査ラインに入ることができません。現在この検査はロボットによる自働化が検討されていますが、このような徹底した技術へのこだわりが「プラチナ賞」という結果にも繋がっています。「プラチナ賞」とは、アメリカの市場調査会社が世界の自動車工場を対象に行う品質調査で1位と認めた工場に与えられるもの。いうなれば「世界一の自動車工場」の証です。この「プラチナ賞」を、トヨタ自動車九州ではこれまでに5回受賞させていただいています。

「感謝」「謙虚」「信念」
人間味あふれる技術者であり続ける

「100年に一度の大変革」といわれる激動の時代にあって、クルマづくりを担うエンジニアに求められるもの、それは「創造(想像)力」だと私は考えます。これまでと変わらずクルマを通して「多くの人を笑顔にする」ためには、ユーザーが何を期待しているのかをイメージし、その期待にエンジニアとして応えるために何をすべきなのか考えることが大切です。課題に対応するだけでなく課題そのものを探り、もっといいレクサス車をお届けするために必要な「創造(想像)力」は、これからのエンジニアに欠かせないスキルといえるでしょう。

また、クルマは数万点におよぶ部品で構成されており、社内の各部門だけではなく、サプライヤー・販売店の皆様など、実に多くの人がクルマづくりに関わっています。さらに今後は、これまで関わりのなかった異業種とのコラボレーションも次々と発生します。そんな環境にあって、プロジェクトを進めていく「実行力」、チームワークもエンジニアには不可欠な要素です。もちろん、卓越した「技術力」が、これからもトヨタ自動車九州を支える生命線であることは言うまでもありません。

最後に、これまで申し上げた「創造(想像)力」「実行力」「技術力」のベースとなるのが「人間力」です。どんなにテクノロジーが進化しても、“いいクルマづくり”の中心にあるのは、コンピュータでもAIでもなく「人」であることは変わりません。与えられた環境や縁でつながった人への「感謝」、満足することなく常に学び続ける「謙虚さ」、最高のクルマをつくるという「信念」を忘れないでほしいと思います。人間味あふれる技術者が集まり、世界中の人々の笑顔のために、期待を超えるクルマをつくり続ける。トヨタ自動車九州は、そんな企業でありたいと考えています。